「一銭洋食」
極めて安上がりなおやつ、それが一銭洋食です。戦前の子供達のお気に入りだったそうです。お子様と一緒に作ってみて下さい。
一銭洋食とは?
ポテトチップスが130円を超えてしまい、もう手が出ません。
そこで思い出したのが「一銭洋食」。
一銭洋食で腹を膨らませて、ポテチの消費量を減らせば節約になると考えた訳です。【図】
一銭洋食とは、お好み焼きの元祖で、戦前の子供達のおやつとして親しまれたものです。「お好み焼きの、具が入っていないもの」と、聞いています。 小麦粉生地のみを焼いたものに、ソースを塗って食すのです。
昔は「ソースがかかっている食べ物」=「洋食」と見なされたので、「安上がりな洋食」という意味で「一銭洋食」と呼ばれたんですね。 戦後、豊富な具材のお好み焼きが考案され、一銭洋食は廃れてしまいました。
私が子供の頃、母親が一銭洋食の事を話していたので、試しに作って貰いました。 これが、私にはドンピシャでした。でも他の家族には不評だったと記憶しています。 栄養バランスを気にしてか、母親作の一銭洋食には千切りキャベツが入っていました。 旨かったですよ。「おやつ」と言うより、「食事」のイメージです。
それはそれで良いのですが、今回はポテチのカサ増し用途の一銭洋食です。 100%小麦粉です。

材料
分量(2日分)
小麦粉:50g(大さじ4杯)
牛乳:50㏄(無ければ水でOK)
水:100cc
和風だし:1つまみ
紅しょうが:適量
(お好みで、かつお節、青のり)

実際、毎日作るのは面倒です。 お粉の準備、焼き、後片付け、大体1時間くらいかかります。 そこで2日分をまとめて作り置きです。 1,2日くらいの保存は大丈夫です。 でもさすがに4日置いておくとパサってしまいます。
牛乳を加えるとキレイな焼き色になります。(味は変わりません。) ダシを少量加えると粉臭さが改善されます。
作り方
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鉄板を温めて(火力最小)油を引く
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鉄板に溶いた粉を引く
私の場合、作り過ぎで鉄板の中央部が凹んでしまいました。「へ」の字型で粉を引くと、それが「堰」となって、粉が流れるのを防止できます。

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生地を丸く仕上げる
お客様にお出しする訳ではないので、適当に。

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紅しょうがを2,3片、乗せる

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紅しょうがの上に少量の粉を重ねる

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火が通ったら、裏返す
牛乳が入っているとキレイな焼き色が付きます。 メイラード反応って言うんでしたっけ? 水だけだとクリーム色のままです。

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表面も火が通ったら出来上がり

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今回は16枚焼けました

ソースが大事
さて、焼き上がった生地ですが、あくまでもこれは「ソースを味わうための土台」です。 ソースにこだわって下さい。 私は、オタフクの「お好みソース」を愛用しています。 ただ、ちょっと粘り気が強いので、ウスターソースで割っています。
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オタフク:7
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ウスター:3
それから、これが大事です。
「一銭洋食は、ソースを塗った状態で保管しない」
ソースの香りが飛んでしまいますので、これはNGです。 ソースは食べる直前に塗って下さい。
また、ソースは「ハケ」で塗りましょう。 味の濃さが調整できますよ。

それから、生地を半分に折って、舌が最初に触れる部分にチョンとソースを塗ります。 これが、通の食べ方なんですよ。

残りの半分は、また明日いただきます。 粗熱を取ってからラップをかけて冷蔵庫へ。

コスト
2日分で50gですから、1キロ袋で、1000/50*2=40日分作れます。
1キロ袋は230円くらいなので、230/40=5.75(円/日)
小麦粉だけなら、6円未満で一日分です。
パンケーキでいいんじゃね?
確かに小麦粉だけじゃ地味ですよね。
プライベートブランドの「ホットケーキの素」を買いました。150gで118円です。
パンケーキと同じ手順で作ってみました。(紅しょうが不要。たまごも省略。)
粉を溶いている段階から、甘い香りでテンションが上がります。 ベーキングパウダーも入っているので、ふっくらと仕上がりました。 甘い! 砂糖も入ってますね。 今の「ホットケーキの素」は凄いです。
う~ん、一銭洋食じゃ、勝ち目がありません。
費用と効果
しかし、
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一銭洋食50g =230/20=11.5円
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パンケーキ50g=118/3 =39.3円
この価格差! 一銭洋食はバカ安ですね。
でも、お子さんと一緒に作るのなら、やっぱりパンケーキに軍配が上がります。
思うに、今活躍しているパティシエの方々は、子供の頃にお母ちゃんと一緒にパンケーキを作った思い出があるんじゃないでしょうか? そうゆう事なら、パンケーキ推しですね。 何もディスニーに行くだけが、「思い出作り」じゃあ無いハズです。 たった40円でできる「自分で作るスイーツ」も立派な思い出です。
ワクワクしながら自分でパンケーキを作る行為と、USJで魔法魔術学校に入学する行為。
どちらが、「自分で生きる力」を育むでしょうか?
大切な事
毎日毎日、飽きるまで食べない事が大切です。
私なら、頑張れば、2千/月は食費が減らせます。 でも、そこまでは頑張りません。 今月、頑張り過ぎて、来月は「もう見るのも嫌」な状態になってしまっては意味ありません。
節約は、細く長く続ける事が肝要です。
長続きのコツ
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逃げ場を確保しておく
冒頭に書いたように、ポテチの量を減らすのが目標です。 ですから「一銭洋食+ポテチ」で腹を膨らませましょう。 でも時間が取れず、一銭洋食が作れない時もあります。 そんな時は「ポテチのみ」でも良いのです。
こんな事で自分を追い込むのはストレスの元です。 ストレスも節約しましょう。
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気分を変える
味変なんかも有効です。夏はソースですが、冬は甘いものが良いですね。
ソースに代えて、「あんこ」も合います。
同じく、「ピーナッツクリーム」もグッドですよ。
まだ、「アイス」「はちみつ」「クランベリー」は試していません。
この場合は「和風だし」は入れない方が良いでしょうね。

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本編は以上なんですが、私が一銭洋食を作る度に思い出すエピソードがあります。
甘くないクレープの話です。
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おまけ 『クレープ・デビュー』
私はクレープを食べた事がありません。 何度も食べる機会はあったのですが、なかなか時間が取れなかったりと、結局、今日まで一度も口にした事が無いままです。
そんなある日、いつもの様に近くのホームセンターに行くと、見慣れないキッチンカーが停まっています。
(何だろか) ※括弧内は心の声
近づいてみると、クレープ屋ではないですか。 フランチャイズの店の様で、食欲をそそる看板が立っています。
(おお。こんな処でクレープ屋に出会うとは。食お。)
既にお客さんが1名並んでいました。 後に並びますと、お店のお兄さんが声をかけて来ました。
店:「はい。何にします?」
私:「う~ん。バナナがいいですね。バナナでお願いします。」
店:「はい分かりました。」
しかし、お兄さん、様子が変です。目が泳いでいます。
(んん? どうした? 大丈夫かな。)
お兄さんが動きます。 焼きの準備に入ります。 しかし軽自動車を改造した車なので天井が低く、動く度に頭をゴツゴツとぶつけるのです。 頭をぶつけながらも、先客のクレープを焼き始めます。 木で出来た「トンボ」の様な道具で、クレープ生地をクルリと伸ばし、円形に仕上げました。 お兄さん満足気な表情です。
次に生クリームを乗せます。 絞り器を絞ると、生クリームがムニムニと出てきたのですが、なんか形が変。 ネコのウンチの様に、生クリームが妙に図太いのです。 よく見ると、絞り器の先端の、あの星形の金具が付いていません。
(アレ? 金具無し・・・これが兄さんのスタイルなんか? クリームたっぷりや。 ええな。)
そう思った次の瞬間、「ブリブリッ」と音をたてて、ウンチ、いやクリームが飛び散ります。
クレープはクリーム飛沫だらけに。
(あちゃ~、エア抜きしてなかったんやな。 別の絞り器にしたら?)
お兄さん、絞り器をじっと見つめます。 そして、段ボールの箱をゴソゴソし始めました。
(何、探してんの? もしかして、エア抜きの道具? そんな便利な道具があるんか。 へぇー。)
お兄さんが取り出したのは、「絞り器の星形の金具」。
(なに? 金具? 付け忘れ? スタイルじゃないの? 今からじゃ、どうにもならんやろ。)
そして、お兄さん、絞り器の先端に金具を被せました。
(なに! 今の絞り器って、金具が後付けできるんや! 知らんかったで! すげーなー!)
お兄さん、再度、絞り始めます。
「ブリッ」と音をたてて、金具がクレープの上に高速落下。
一同、凍り付きました。
(・・・なんや、感心して損した・・・やっぱり後付けでけへん。)
お兄さん、金具を拾い上げ、しばし放心。
そんな事をしている間に、お兄さんの手はクリームまみれに。
また、段ボール箱から何かを取り出しました。
「ロールペーパー」です。
(そんなモン使うな! マジでネコのウンチやんか。 タオルも用意して無かったんか。)
さすがに、お兄さん、これはマズいと踏みとどまりました。
そして、
「すみません!」
と言い残し、ホームセンター本館に向け走り去ったのです。
手を洗いに行ったのでしょう。
その後、お兄さんを見る事はありませんでした。
手を洗った後、足も洗ったのかも知れません。
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この兄さんは、人生につまづいて、フランチャイズ(FC)に再起を賭けたんでしょう。
辛い記憶となったでしょうが、しかし、明らかに準備不足・修行不足です。
この失敗を糧に再起される事を祈っています。
FC本部も無責任。 座学1時間、実習半日程度のスキルで世間に送り出すかね?
このFCで成功している人は絶対に居ないでしょう。
どうやら、契約金と違約金で成り立つビジネスモデルの様です。(FC詐欺)
若者を食い物にするFCです。
(おわり)