ソーラー湯たんぽ
電気・ガスを一切使わない、太陽熱で湯たんぽを温める方法です。ほんの少しですが省エネになります。お子様と取り組めば科学の教材にもなりますよ。
「ソーラー湯たんぽ」はじめましょう (注1)
湯たんぽがエコ・グッズである点については、皆さん異論は無いでしょう。 しかし、お湯を沸かすのに電気やガスを使っていては、画竜点睛を欠く行為と思えてならないのです。そこで、太陽熱を利用した湯沸かし方法を試行してみます。
三案を試してみました。
1号機. 簡易型(小学生レベル)
1号機改.簡易型+反射鏡(小学生レベル)
2号機. 真空管型(中高生レベル)
『1号機』 簡易型(小学生レベル)

(作り方)
A:透明ビニール袋を2重にする。【写真】
袋のサイズは、
(大:90Lサイズ)1000mm x 900mm
(小:45Lサイズ)800mm x 650mm
ビニール袋の中には、園芸用アルミ線で作ったフレームを入れる。(このフレームを使うと、作業性がグッと増します)【写真】


B:黒く塗装したペットボトルを2本、ジップロックに入れる。(もちろんボトルは「わ~い、お茶」等のホット対応品です)
C:BをAに入れ、ビニール袋の口を縛り、日当たりの良い場所に放置する。

身近な材料で作れ、放置するだけで良いので簡単です。
なおビニール袋の口を紐で毎回縛るのは面倒なので、【写真】を作っておくと便利です。 これは「 コード・ストッパー 」という手芸用品です。
こんな簡単な構造でも、10月~11月は50℃超が得られました。でも、さすがに12月になると40℃台がやっとです。対策が必要です。

『1号機改』 簡易型+反射鏡(小学生レベル)
鏡を使ってより多くの日光を集めます。 使うのは、凹面鏡やCPC鏡といった高度な物ではなく、「コーナー・リフレクター」と呼ばれる簡単に作れる鏡です。 立方体の内側の三面鏡ですね。サイズは190mm x 190mm x 190mmです。 また面白い性質があります。
【写真、上】1体のキティちゃんが、8体に見えます。つまり8倍の集光が期待できます。 ただし、見る角度によっては、1体のままです。【写真、下】
つまり、太陽の角度により集光率が変化しますが、凹面鏡の様な火災の危険がありません。 このため、ほぼ放置状態で使えるので便利です。(90°の範囲でしか集光できないので、時々方向を調整します)
■ご注意■ 放置できるのは冬だけです。夏場は多分、ボトルが破裂します。■ご注意■


(作り方)
D:透明ビニール袋に鏡とペットボトルをセットし、ビニール袋を閉じる。【写真】

E:Dを一号機のAに入れる。ビニール袋を閉じ、鏡を太陽に向ける。【写真】

【グラフ】が1号機改の温度推移です。
65℃が得られました。

『2号機』 真空管型(中高生レベル)
ここまで来たら、沸点に到達せずにはいられません。 太陽熱温水器用の真空管 を導入します。【写真】 しかし、Amazonでの販売は、10本セットですので持て余してしまいます。 幸いバラ売りしているサイトが見つかったので、そこで購入しました。 『フジソル オンライン』でググってみて下さい。 トップのサイトです。「実験用ミニ真空管」が目的の品です。 これで、700㏄のお湯が沸かせます。 なお、無料で取説もダウンロードできるので、一読させて頂きましょう。

真空管を入手したら、最初にしなければならない事があります。「ツノ隠し」作りです。 真空管には真空ポンプを接続した名残りがあります。 この「ツンと尖った部分」が非常に弱いので、最初にカバーを作らねばならないのです。 私は炭酸飲料のペットボトルで作りました。【写真】
2液混合のエポキシ接着剤で4点留めです。 接着剤をべったりと使っても問題無いとは思いましたが、ガラスへのストレスが心配なので、点留めとしました。 炭酸飲料のボトルは丸いので、よくフィットします。なお、この部分は熱くならないので、ホット対応のボトルでなくても問題ありません。
もし熱くなった場合は「真空漏れ」です。 もう湯沸かしには使えません。

「ツノ隠し」が出来たら、いよいよ湯沸かしです。
ベランダの手すりで実験すると、3時間で20℃->70℃に到達しました。【写真】 しかし、1日中晴れている機会が案外と少ないのです。 私の居住地では、午前晴れでも午後に雲が出るパターンが多い事を実感しました。 また真空管を裸で使い続けるのも不安で、実用的ではありません。

そこで、発泡スチロールの箱に入れ、反射鏡も設け、短期決戦で湯沸かしできる仕様としました。【写真】箱サイズは 550mm x 350mm x 190mm。880円です。

最速で、75分で20℃->100℃が実現出来ました。【グラフ】
反射鏡を使っているので、方位調整が必要ですが、アバウトな鏡なので30分毎の調整で十分です。
本当にポコポコと沸騰します。達成感があります。野菜の栽培や、動物の飼育に通じる「育てる楽しみ」があります。

ただ、危険な器具ではありますので、まめに温度や状況を確認する必要があります。 これには、Bluetoothで使える温度計 が便利です。【写真】
ただし、バグがあります。3つのバグを確認しましたが、温度モニターとしては使えるので壊れるまで使うつもりです。当然、皆さんには新規のご購入はお薦めしません。(「上のグラフ」の「バグ」は部分的に時刻が逆転している感じです。)
真空管を使うのであれば、湯温の遠隔監視は絶対に必要です。別のBluetooth,Wi-Fiの温度計を探してみて下さい。
なお、沸騰状態で放置すると真空管の中央部で突沸現象が発生し、ドバッと熱湯が吹き出します。 危険ですので湯沸かし中は、くれぐれも外出しないで下さい。
