中古住宅が「買い」
賃貸vs戸建て論争が決着しました。
家にお金をつぎ込むのは止めて、楽しい人生を送って下さい。
宗教論争
世の中には、「賃貸か持家か」という論争がありますが、これは宗教の様なもので結論は出ません。 生涯、賃貸料を払い続けるのも嫌ですし、30年以上もローンを払い続けるのも辛いですね。 でもこの議論、私には両極端なものにしか思えません。 持家の前提が「新築購入」なんですから。
第三の選択
日本人の新築信仰は根深いものがあります。 でも、新築を購入し、30年もかけて借金を返済する。 こんな人生、私には考えられません。 30年の間には会社倒産・リストラ・大病のリスクがあります。 リスク対策として高額な保険に加入しますか? これじゃ、何のために働いているのか分からなくなります。 ローン完済後は数割の価値しか残らないのに。
何十年も前ですが、こんな事を聞きました。「工務店の利益率は6割」。 大昔の話ですよ。 水商売以外で、こんな旨い商売は他になく、ハウスメーカーが乱立し競争が激化した結果、利益率は低下しましたが、今でも2割くらい(Google調べ)の利益率はあるそうです。 やはり新築は割高です。 ということは、新築を買ってすぐに売ると、2割の値下がりとなります。(理屈上は)
例外的に中古住宅や中古マンションが値上がりするラッキーな場所があります。 山手線の内側です。 ここでは、転売を繰返し数年毎に住替える人もいるそうです。 でも高リスクですよ。 余程の資産的裏付けがないと渡れない橋です。 ここ以外の地域では、住まいは消耗品と割り切るしかありません。 消耗品と思えば新築にこだわる理由も無いでしょう。
そんな訳で東京都区外の中古物件を買いましょう。 手頃な中古物件なら数年~十数年でローンを完済できます。 これが『第三の選択』です。
中古マンションはパス
でも、マンションは避けましょう。 「大規模修繕」もままならない物件が多数です。 その先の「建替え」なんてほぼ不可能です。 不動産コンサルの長嶋修氏の記事(「週刊エコノミスト」誌 2019/11/18号)によれば、建替えに成功したのは300棟未満だそうです。(注1)
(’19年時点の全国のマンションは665万棟)(注2)
ましてやタワーマンションは絶望的です。足場を用意するだけで30億だそうです。(テレビで見た)
今ならもっと高くなっているでしょう。
(注1)長嶋修氏の記事はネットでも購読可能です。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20191126/se1/00m/020/058000c
(注2)内閣府「分譲マンションストック戸数」
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2201_01startup/221004/startup10_02.pdf
「中古一軒家」、一択
以上の事から「中古の一軒家」をお勧めします。
メリット
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建物本体が安い上に、固定資産税(毎年払いますよ)も安い
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管理費、修繕積立金もナシ
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建替えの必要が無い
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気に入らなければ転売すれば良い
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転売時の損失も軽微
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愛着が無いので身軽に動ける
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天災で破損しても精神的・金銭的ダメージ小(私の経験談)
デメリット
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あまり、人に自慢できない
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耐震基準が古い場合あり
要注意物件
でも注意しなければならない物件があります。
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破格に安い
心理的瑕疵という、自殺や事件があった物件ですね。(「大島てる」に掲載中。情報の真偽不明) 崖っぷちの危険な立地や、やたらと車が突入して来るT字路の家、カーブ外側の家なんかもNGです。 傾いた家も見た事があります。相場の半額でも売れません。
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築浅物件
築浅は人気がありますが、ちょっと待って下さい。 ご近所トラブルで泣く泣く引っ越した人が居たのかも知れません。 騒音おばさん、反社事務所は要注意です。
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浄化槽
地方や業者により管理費は様々ですが、10万/年という書き込みを見ました。
さらに、もし後日、下水道が整備された場合は80万程の接続費が発生します。 接続費も槽の撤去費も家人持ちです。
とかく浄化槽に関しては良い話は聞きません。 手を出さないのが無難です。
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不人気ニュータウン
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前面道路が私道で極端に狭い。
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買い物が超不便。
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幹線道への接続が1本で朝夕は激混み。
こんなニュータウン、沢山ありそうです。 総じて相場より安いのですが、実情を目の当たりにするとビックリします。 一番驚いたのは、住民が雑木林を抜ける「マイ道路」を作っていた例です。 地権者の了解は得ているとは思いますが、凸凹で4WDしか通れない獣道の様な道路でした。
リサーチが大切
もし新築でこんな物件を掴まされたら・・・残りの人生は地獄です。 家を買うとなれば、興味はすぐに間取りや設備、インテリアに向かうと思いますが、私は住まいは立地が全てだと思います。
新築、中古の区別なく立地を見極めるには、「土地勘」が大切です。 もし、私が見知らぬ地域の家を買うのなら、
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アパートを借りる
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数年間暮らして土地勘を養う
通勤途上や休日に地域をウロウロする。
ハザードマップも見ておきましょう。
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売り物が出たら現地を確認
こんな流れで準備します。
おやっ、冒頭の「賃貸か持家か」論争に答えが出ましたね。 「賃貸から中古持家へ」です。
でも焦りは禁物です。 中古物件はそんなにすぐには売れないので余裕を持って下さい。 実際、「ホームズ」等サイトで中古物件を見てみると掲載から半年以上の物件がゴロゴロとあります。
なかなか中古は売れないんです。
一方、新築では営業トークに踊らされない事です。
「今週中にもご成約いただけそうです~。今なら・・・」
「お引き合い、2件頂いております。まだ大丈夫・・・」
とか適当な事を言うのでしょう。
実際、私の近所でこんな事がありました。
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築40年、100坪の平屋:950万で売りに出されるも1年経っても売れず。
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新築、20坪の極小住宅:1300万で2週間で売れた。
これには驚きました。 「こんな犬小屋みたいな家、誰が買うんやろ」と思っていましたが、新築なら売れるんですね。 私の居住地は田舎で、かつ中心部から10km以上離れていて、100坪以上の家は当たり前なんです。 そんな住宅地で極小住宅を買うなんて、信じられませんでした。 しかも、この2物件、直線距離で300m程しか離れていません。 もう、情弱としか思えません。
田舎のへき地の犬小屋。 将来、どうするんでしょう? 売れるとは思えませんが。 もし私が若く商才があるのなら、100坪の土地を分割し、2軒の家を建て、1軒を自分用に、他1軒を売却します。 恥ずかしながら、そんな才能も金もありません。 それに、4分割で販売する程の恥知らずでもありません。
アドバイスをもう一つ。
東日本大震災で被災した立場で述べます。 瓦葺の家は避けて下さい。 耐震性が低く、直せる職人さんもどんどん減っています。 近所に、2011年の震災から10年以上経つのに、今だにブルーシートで覆っている家があります。 大きな家ですが、おそらく家人は居らず、修理費も工面できないのでしょう。 年を取ってからの被災は本当に痛手です。 瓦とともに、スレートもお勧めできません。素人が手を出せないのです。 一方、トタン屋根は高級感こそありませんが、重量が軽いため地震の影響がなく、また自分でペンキを塗り直す事ができます。 節約ラブの本サイトでは、お金がかからないトタン屋根を推します。(ガルバリウムもアリですね)
それから二階建ての家では、本や重い家具等は1階に置くようにして下さい。 耐震性の向上に有効です。
私達を縛るもの
家は人生最大の買物と言われます。しかし、完済に30年もかかる家はどう考えても「重すぎるお荷物」です。 一体、我々は何に縛られているのでしょうか。
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古いモノはダサい、という刷り込み
高度経済成長期、製品のモデルチェンジを繰り返す手法が定着しました。 「計画的陳腐化」と言います。 衣類、電化製品、車がターゲットなんですが、どうして家にまで拡大視するんでしょう。 不思議です。
対応は簡単です。マインドを切り替えるだけです。
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家族を守る場所、という一般論
「全て家族の為」。その考えは正しく、反論の余地もありません。 しかし、なぜ「新築」なんでしょう。 家族を思うなら家計負担を少なく保ち、予測不能なリスクに備えるのが一番です。
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家を建ててこそ一人前、という思い込み
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生活レベルを高く見せたい、という見栄
これこそ捨て去るべきマインドです。 カードで一括払いならば、超ご立派です。(こんなヤツ、私も嫌いですが) しかし、頭金ナシ・30年ローンじゃ褒められたもんじゃありません。 くれぐれも、ローンの罠にハマらないで下さい。(後述)
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支払いは何とかなるだろう、という楽観
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借金も財産、という言い訳
そもそもお金の管理が出来ない人が家を買うのは無謀です。 まずは家計の実態を調べる事。 つまり家計簿を付ける事から始めて下さい。 家の購入はその先です。
ローンの罠
こんな、勘違いが積み重なり新築を購入したのは良いけれど、現実は甘くありません。 支払いの為に、残業をするフリをする人、自己研鑽を放棄した人、業績を水増し報告する人。 こんな人達、皆さんに周りも居るでしょう? 若手から社畜と蔑まれる虚ろな中高年ですが、誰だって無理な借金を抱えればこうなります。
管理職でも無い限り、給与は「時給」の積み重ねです。 ローンというシステムは、始めるのは簡単ですが、実は「未来の時間を切り売りする」仕組みと見るのが本質です。 「未来を切り売りした人」には「自由」「可能性」はありません。 転職、脱サラ等の転身を模索する気力は失せ、簡単確実な社畜化に進むのが自然な流れです。 こんな事から、私には「新築」は「牢屋」に見えます。(懲役30年の)
日本の労働生産性がなかなか向上しないのは、企業の投資が足りていない事に加え、家計の借金漬けも一因と思っています。(個人的見解です)
さらに、間違っても、ローン枠一杯まで借りてはイケません。 インフレで毎年給与が上がる時代であれば将来は楽ですが、今後30年を見通せる人はいません。 「少子高齢化」だけで考えれば、悲観的な計画を立てておくに越したことは無いと思います。
それから、もし支払不能となって物件を手放したとしても、ローンは残り続けます。 ご存じですよね、「リコースローン」。 日本では、金融機関は絶対に損をしない仕組になっています。(支払不能時はすぐに金融機関に相談を)
最後に
「若いうちに全てを手に入れたい」、そんな「背伸びし過ぎ人(びと)」が多過ぎです。 立派な家「箱モノ」の中の住民が「空っぽ」じゃ、本末転倒です。 限られた時間(お金)を有効に活用し、幸福を追及して下さい。
どうしても新築が欲しいのなら、こんな目標設定はどうですか。
「中古で子育て、老後は新築」
お子さんが居る間は、色々とお金がかかります。 住宅ローンと養育費の二重負担は大変です。
そこで、
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中古を購入し、住宅ローンの負担だけでも軽く済ませる
子供部屋などの部屋数の多い物件が良いでしょう。
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少しずつでも積立て、将来の新築に備える
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子供が独立したら、建替え、あるいは住替える
子供達が居なくなった途端に家が広くなり過ぎて掃除が面倒になったり、物置部屋になってしまう。 そんな話はよく聞きます。 そうなる前に建替える作戦です。 小さな物件にすれば、建築費用も抑えられ、念願の新築となります。 それに将来、子供達が相続しても、築浅なので古臭くなく、お孫さんの部屋が必要になれば増床するだけで済みます。 これなら、トータル費用は安くなりますよ。(それに、月日が経てば、新築への執着も無くなるんじゃないでしょうか)
(おわり)